日本では八重歯はチャームポイントとして捉えられることが多いです。
しかし、海外ではドラキュラの歯の象徴と考えられ好まれない傾向にあり、歯列矯正を行うのが一般的です。
近年では、日本でも八重歯をコンプレックスに感じて、大人になってから歯列矯正を検討する方も増えています。八重歯は見た目に影響を与えるだけでなく、噛み合わせの悪さなどさまざまな問題を引き起こすことをご存じでしょうか。
今回は、大人になってからでも八重歯の矯正は可能なのかを解説します。大人の八重歯を矯正する場合にかかる期間や費用もご紹介しますので、八重歯が気になっている方は参考にしてください。
目次
八重歯とは?
八重歯とは、歯列から外れて外側に飛び出して生えた歯のことです。歯並びがガタガタしている叢生(そうせい)とよばれる不正咬合に分類されます。
ほかの歯よりも生え変わる時期が遅いため、犬歯が歯列から飛び出して八重歯になることが多いです。
h2八重歯になる原因
八重歯になる原因は、以下のとおりです。
- 顎が小さく歯が生えるスペースが足りない
- 歯のサイズが大きい
- 上顎に過剰歯がある
詳しく解説します。
顎が小さく歯が生えるスペースが足りない
顎が小さいと歯が生えるスペースが足りないため、歯がガタガタに生えます。犬歯は、周囲の歯の生え変わりが進んでから生え変わるため、歯が生えるスペースが十分ではない場合は歯列から外れて八重歯になるのです。
顎が小さくなる理由としては、幼い頃から硬い物を噛まずに柔らかい物ばかりを好んで食べているなど、顎の発達が十分でないことが挙げられます。
歯のサイズが大きい
顎の大きさに問題がなくても、1本1本の歯のサイズが通常よりも大きい場合があります。歯が並ぶスペースが不足するため、八重歯になる可能性があるでしょう。
上顎に過剰歯がある
過剰歯とは、歯の本数が通常よりも多く生えていることを指します。
永久歯は本来28本、親知らずを含めると32本生えます。本来の本数より多く歯が生えても顎のサイズは変わらないので、歯が並ぶスペースを確保できずに八重歯になる可能性が高いです。
特に、上の前歯付近に過剰歯がある場合は八重歯になることが多いです。
八重歯が及ぼす悪影響
八重歯が及ぼす悪影響を確認しましょう。
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 奥歯の負担が大きくなる
- 肩こりや頭痛の原因になる
- 歯並びが悪い印象を与える
詳しく解説します。
虫歯や歯周病になりやすい
八重歯は、ほかの歯と重なって生えています。歯ブラシが届きにくいため、磨き残しが多くなりやすいです。磨き残しがあると、虫歯や歯周病の原因になるなど、お口のさまざまなトラブルにつながるでしょう。
奥歯の負担が大きくなる
八重歯になる可能性が高い犬歯は、噛み合わせに大きな影響を与えます。犬歯はほかの歯に比べて尖っており、通常の歯並びでは最初に噛み合います。犬歯が噛み合うと上下の奥歯が少し離れた状態になり、奥歯に過度な負担がかからないようにしているのです。
犬歯には歯列全体にかかる負担を分散する役割があるので、犬歯が八重歯になると奥歯の負担が大きくなるのです。奥歯に負担がかかり続けると、歯の寿命が短くなる可能性や知覚過敏が起こる可能性があります。
肩こりや頭痛の原因になる
八重歯は正常な歯並びではないため、噛み合わせが悪く顎関節に負担がかかります。顎の筋肉は首や頭までつながっているため、顎関節に負担がかかると首の筋肉の緊張が続き、頭痛や肩こりを引き起こす原因となるでしょう。
歯並びが悪い印象を与える
八重歯をチャームポイントとして捉える方もいますが、歯並びが悪い印象を与える場合もあります。特に、海外ではドラキュラの歯、悪魔の歯と捉えられており、あまりよい印象を与えません。
笑ったときに目立ちやすいので、八重歯をコンプレックスに感じる方もいるでしょう。人前で笑うことにストレスを感じるなど、精神的な悪影響も考えられます。
大人になってからでも八重歯の矯正は可能?
大人になってからでも八重歯の矯正は可能です。軽度の八重歯の場合は、八重歯の部分だけを整える部分矯正で治療可能な場合もあるでしょう。
ただし、八重歯は歯列全体を整える全体矯正が必要な場合が多いです。八重歯は、歯が生えるスペースが足りないことが原因で起こるため、歯列全体を動かしてスペースを確保しなければならないことがあるのです。
歯の表面をごくわずかに削ってスペースを作るIPRや抜歯など、歯を並べるスペースを確保して歯列矯正を行う必要があります。
八重歯は抜歯できない?
歯列矯正で抜歯が必要な場合「いっそのこと歯列から外れた八重歯を抜けばよいのでは?」と思う方もいるのではないでしょうか。八重歯になることが多い犬歯には、噛み合わせ全体を支える重要な役割があるため、基本的に抜歯することはありません。
犬歯は根が長く、ほかの歯に比べて寿命が長いです。最も丈夫な歯ですが、犬歯を抜くと犬歯にかかっていた負担がほかの歯にかかることになります。
ほかの歯の寿命を縮める可能性があるので、歯列矯正の際は犬歯の抜歯を避けることが多いです。抜歯する歯は、噛み合わせへの影響が少ない前から4番目か5番目の小臼歯、もしくは親知らずを選択するのが一般的です。
大人の八重歯を矯正する方法
大人の八重歯を矯正する方法には、大きく分けて以下の2種類があります。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
詳しく解説します。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯につけたブラケットという器具にワイヤーを通して歯を動かす矯正方法です。昔から行われている主流な歯列矯正方法で、さまざまな歯並びに対応できることが特徴です。
ただし、ご自身で取り外しができないため、歯磨きやお手入れは難しいでしょう。矯正器具が目立つこともデメリットです。
見た目が気になる方は、透明のブラケットやホワイトワイヤーを選択することで目立ちにくくできます。また、ブラケットとワイヤーを歯の裏側に取りつける裏側矯正という方法もあります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、ご自身に合ったオーダーメイドのマウスピースを装着して歯を動かす矯正方法です。マウスピースは透明で目立ちにくく、ご自身で取り外しが可能なため、食事や歯磨きがしやすいことがメリットでしょう。
ただし、マウスピース矯正で治療できる歯並びは限られています。八重歯の場合、難しいことが多いです。
八重歯をマウスピース矯正で治療する場合は、ワイヤー矯正を併用することがあります。
大人の八重歯を矯正する場合にかかる期間
大人の八重歯を矯正する場合にかかる期間は、もともとの歯並びによって異なりますが、約1~3年が一般的です。八重歯の程度や歯並びの乱れが大きいほど、治療期間は長くなります。
部分矯正で治療可能な軽度の八重歯の場合、3か月~1年程度でしょう。
ただし、歯列が整ったあとは、後戻りを防ぐための保定期間が必要です。保定期間中は、リテーナーという後戻りを防止する装置を使用します。
保定期間は、一般的に歯列矯正を行った期間と同じ期間が必要とされています。保定期間も合わせると、約2~6年の治療期間が必要でしょう。
大人の八重歯を矯正する場合にかかる費用
大人の八重歯を矯正する場合にかかる費用は、600,000円~1,000,000円程度です。軽度の八重歯を治療する部分矯正であれば、100,000円~400,000円程度でしょう。
歯列矯正は保険適用外の自費診療なので、歯科医院によって費用は異なります。選択する矯正方法によっても費用は変わるため、あくまで目安として参考にしてください。
まとめ
八重歯は不正咬合のひとつであり、歯列矯正するべき歯並びです。虫歯や歯周病になりやすいうえに奥歯に大きな負担がかかるなど、放置すると多くのリスクを伴います。
八重歯が治れば、笑顔に自信が持てるようになるでしょう。人前でも気にせず笑えるようになるかもしれません。
大人になってからでも、八重歯の矯正は可能です。八重歯でお悩みの方は、歯科医院や矯正歯科に相談するとよいでしょう。