むくデンタルクリニック (むく歯科医院)

       
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2024.03.12

大人の歯列矯正はやめたほうがいいの?治療前に知っておくべきこと

歯列矯正はやめたほうがいいのか考える女性

「大人は歯列矯正をやめたほうがいい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。大人になってからの歯列矯正は、見た目の改善だけでなく、噛み合わせの問題を解決するためにも有効です。

しかし、治療を始める前には、いくつか注意すべき点があります。

この記事では、大人の歯列矯正はやめたほうがいいと言われる理由や、メリット・デメリットについて解説します。

大人の歯列矯正はやめたほうがいいの?

大人の歯列矯正はやめたほうがいいのか疑問の女性

「大人の歯列矯正はやめたほうがいい」と聞いたことがあるかもしれませんが、歯列矯正には年齢制限がありません。

しかし、大人が歯列矯正を行う場合、こどもとは異なる点があります。こどもの場合、顎の成長が途中なので必要なスペースを作りやすいですが、大人になると顎骨の成長が止まります。歯を動かすスペースを確保するために、抜歯が必要になることもあるでしょう。

また、歯を動かすためには骨の代謝機能が重要で、この機能は年齢と共に低下します。そのため、子どもよりも大人のほうが治療期間が長くなる可能性があります。

これらの点を踏まえても、大人が歯列矯正を受けるメリットは大きいです。見た目を改善できるだけでなく、顎関節症の予防や虫歯・歯周病リスクの減少など、口腔内の健康を維持しやすくなるでしょう。

歯列矯正をやめたほうがいい方の特徴

歯列矯正をやめたほうがいいイメージ

大人で歯列矯正をやめたほうがいい方の特徴は、経済的に余裕がない方や、セルフケアが困難な方などが挙げられます。具体的な理由について、以下に詳しく解説します。

費用の準備が難しい方

歯列矯正は保険適用外であり、高額な費用が伴います。具体的には、ワイヤー矯正で約60~150万円、マウスピース矯正でも約50~100万円程度が必要とされています。

矯正器具の購入費用だけでなく、定期的なメンテナンスや調整にも費用がかかります。これらの費用は、使用する矯正器具の種類や治療の範囲によって大きく変動するため、治療開始前に総額をしっかりと把握し、計画的に準備しなければなりません。

治療期間が長期にわたることも多いため、無理なく続けられるかどうかが重要なポイントです。まとまった費用を用意することが難しい場合や、経済的な理由で治療の継続が困難な方は、歯列矯正の開始を見送るか、他の選択肢を検討する必要があるでしょう。

セルフケアが難しい方

歯列矯正は、日々のセルフケアによって治療効果が左右されます。特に、ケアを怠ると虫歯や歯周病のリスクが高まるため、通常以上に丁寧な歯磨きが必要です。

例えば、マウスピース矯正を選択した場合、飲食の度にマウスピースを外し、それを洗浄した上で歯を磨いてから再び装着しなければなりません。このような継続的なケアが面倒に感じる方や、忙しさから適切なケアを続けることが難しいと感じる方は、歯列矯正はやめたほうがいいでしょう。

虫歯や歯周病がある方

治療開始前に虫歯や歯周病がある場合、矯正治療中に悪化するリスクがあります。歯列矯正中は、装置が口の中にあることで虫歯や歯周病の原因となる細菌が増えやすいためです。

ただし、問題の程度によっては、治療を同時に進めることが可能な場合もあります。担当の歯科医師によって判断は異なるので、まずは口内を正確に診てもらい相談することが重要です。

大人の歯列矯正のリスク・デメリット

大人の歯列矯正のリスクイメージ

大人の歯列矯正には、さまざまなリスクやデメリットが伴うため、事前に理解しておくことが重要です。

抜歯が必要になる可能性がある

大人の歯列矯正では、理想的な歯並びを実現するために歯が移動するスペースを確保する必要があります。十分なスペースがない場合は抜歯が必要となることがあります。

親知らず以外の健康な歯を抜くことに大きな抵抗を感じる方も多いでしょう。そのため、矯正治療を始める前に、抜歯の必要性や、それに伴うリスクについて、医師と十分に話し合うことが重要です。

矯正器具により見た目に影響が出る

大人の歯列矯正は見た目の改善に大きな効果をもたらしますが、治療期間中は避けられないデメリットも伴います。矯正器具が原因で、見た目に違和感が出て仕事や日常生活に影響を及ぼす可能性があります。

ワイヤー矯正などの一般的な方法は、装着していることが外見からも明らかになります。自信の喪失につながることが少なくありません。

しかし、近年では見た目に影響が少ないマウスピース矯正や、歯の裏側に矯正装置を装着する裏側矯正など、さまざまな選択肢があります。従来の矯正治療に比べて目立ちにくいため、見た目への影響を最小限に抑えたいと考える方に選択されています。

痛みが発生する可能性がある

大人の歯列矯正では、治療には避けて通れない痛みが存在します。痛みを最小限に抑える治療法が開発されてはいますが、歯を動かすので痛みが全くないわけではありません。想像以上に苦痛を感じ、矯正治療を後悔する方も多いです。

また、歯列矯正の過程では、歯や歯茎への一時的な不快感、食事や発音の障害、口内炎の発生リスクの増加など、日常生活に影響を及ぼすことも考えられます。

虫歯や歯周病のリスクある

特にワイヤー矯正を行う場合、矯正器具と歯の間に食べカスや歯垢が溜まりやすくなり、細菌の繁殖を促すことで口腔内の衛生状態が悪化します。この結果、虫歯や歯周病のリスクが治療前に比べて高まるのです。

矯正治療が完了すれば歯並びが整い清掃しやすくなるため、虫歯や歯周病になりにくい口腔環境になるでしょう。

しかし、治療期間中はそのリスクが逆に増加するため、日頃のオーラルケアが非常に重要になります。治療を受ける際は、適切なケアを心がけなければ治療後に虫歯や歯周病になるかもしれません。

歯肉退縮や歯根吸収のリスクがある

大人の歯列矯正では、歯肉退縮や歯根吸収といった問題が生じる可能性があります。

歯肉退縮は、歯の根元を覆う歯茎の位置が下がることです。歯の根元が露出し、歯が抜けやすくなったり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

歯列矯正中は歯に一定の力が加わるため、歯肉退縮を引き起こす原因となるのです。

歯根吸収は、歯の根本部分が短くなる現象です。進行すると歯の支持力が弱まり、最悪の場合、歯が抜け落ちる原因にもなります。歯列矯正による過度の力が、このリスクを高めることがあります。

通常、矯正治療で加える力は適度に調整されるため、これらのリスクが高まることは少ないです。

しかし、治療期間が長引いたり、調整が不適切で強い力が加えられた場合は、歯肉退縮や歯根吸収のリスクが増加します。

大人の歯列矯正のメリット

大人の歯列矯正のメリットを説明する女性

大人の歯列矯正におけるリスク・デメリットを解説してきましたが、メリットも多いです。ここでは、大人の歯列矯正のメリットについてご紹介します。

見た目のコンプレックスを解消できる

歯並びのコンプレックスを抱えていると、自信を持てなくなることがあります。矯正治療によって歯並びが整うことで、自身の外見に対する自信が高まります。コンプレックスの解消だけでなく、自己肯定感の向上にもつながるでしょう。

整った歯並びは他人からの印象にも大きく影響します。歯並びに注目する方は多く、きれいな歯並びは清潔感や好印象を与える要素となります。社会生活や対人関係においてもプラスの影響を及ぼし、第一印象の向上にもつながるでしょう。

噛み合わせが改善される可能性がある

歯列矯正は、単に見た目を美しくするだけでなく、噛み合わせの問題を改善することも可能です。顎関節や咬筋にかかる余計な負荷を軽減し、顎関節症や頭痛、肩こりなどの身体的な不調を改善する効果も期待できるのです。

噛み合わせが悪いと咀嚼が不十分になり、胃腸への負担が増えることもあります。歯列矯正によって噛み合わせを改善することで、全身の健康状態を向上させることが可能になるのです。

口腔衛生を保ちやすくなる

歯並びが整うことで、歯ブラシが隅々まで届きやすくなります。歯磨きが格段にしやすくなるので、口内の清潔を保ちやすくなり虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。

また、前述したように噛み合わせが改善されることで、噛む力が歯全体に均等に分散されるようになります。特定の歯への過度な負担が減少するため、歯の過度な摩耗や損傷を防ぎ、歯を健康に保つことが可能です。

歯列矯正を受けることで、見た目の美しさだけでなく、歯の健康を長期にわたって維持しやすくなるのです。

口臭予防につながる

歯列矯正により歯並びが整うことで、磨き残しが減り口臭が発生しにくくなります。口臭は対人関係に影響を及ぼす可能性があるため、口臭予防は非常に重要です。

まとめ

歯列矯正をする女性

大人の歯列矯正はこどもの治療に比べて、治療期間が長くなったり、抜歯の必要性が高くなったりする理由から「大人の歯列矯正はやめたほうがいい」と言われることがあります。

しかし、大人の歯列矯正は、見た目の美しさを追求するだけでなく、口腔内の健康を向上させる多くのメリットがあります。治療によって歯並びが整い歯磨きがしやすくなることで、虫歯や歯周病のリスクが減り口臭を改善する効果が期待できます。

また、噛み合わせが改善されることにより、顎関節症や頭痛、肩こりなどの不調の軽減にもつながります。抜歯の有無や治療費などは個々の状況によって異なるので、歯科医師と十分に相談することが大切です。