インビザライン矯正中に「マウスピースが浮く感じがする」という経験をされた方は少なくありません。インビザライン矯正中にマウスピースが浮いていると、治療に問題がないか心配になる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、インビザライン矯正中にマウスピースが浮く原因と、浮いた場合の影響について解説します。マウスピースが浮いた場合の対処法も解説しますので、マウスピースが浮くことにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
インビザライン矯正中にマウスピースが浮く原因とは?
インビザライン矯正中にマウスピースが浮く主な原因は、以下の6つです。
- マウスピースの装着時間が足りない
- マウスピースが破損・変形している
- 新しいマウスピースに馴染んでいない
- 正しくマウスピースを装着できていない
- 一部の歯だけ動きが遅れている
- 歯が小さい・低い
それぞれの原因を詳しく解説します。
マウスピースの装着時間が足りない
インビザライン矯正では、マウスピースを1日に20時間以上装着する必要があります。この装着時間が不足していると、治療計画通りに歯を動かすことができません。
歯が計画通りに動いていないと、マウスピースの形と歯列にズレが生じるため、マウスピースが浮くことがあるのです。
マウスピースが破損・変形している
マウスピースの破損・変形も浮く原因のひとつです。
インビザラインで使用するマウスピースはプラスチックでできています。柔らかく弾力がありますが、歯ぎしりや食いしばりなどによって破損・変形する可能性があります。マウスピースが変形・破損していると歯に合わず、浮くことがあるでしょう。
新しいマウスピースに馴染んでいない
インビザライン矯正では、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換します。新しいマウスピースに交換したての頃は、歯に馴染んでおらず、浮いたように感じることがあるのです。
数日すればマウスピースが馴染んでくることがほとんどです。数日経っても浮いた感じがする場合は、歯科医師に相談しましょう。
正しくマウスピースを装着できていない
マウスピースを正しく装着できていないことで浮くこともあります。インビザラインで使用するマウスピースは歯にしっかりと密着させなければなりません。
マウスピースを正しく装着するための補助用具にチューイーと呼ばれるものがあります。チューイーを噛むことで、指だけでは装着しづらいマウスピースもしっかり装着できるようになります。
しかし、チューイーを使用せずに指だけでマウスピースを装着すると歯に密着せず、浮くことがあるのです。
一部の歯だけ動きが遅れている
一部の歯だけ動きが遅れている場合にもマウスピースの浮きを感じることがあります。
治療計画通りに動く歯もあれば動かしにくい歯もあります。特に、歯を大きく動かす必要がある症例や捻れている歯の場合は、治療計画と実際の歯の動きに誤差が生じることがあるのです。このような場合は、一部だけマウスピースが浮くことがあります。
歯が小さい・低い
歯が小さい・低い場合にもマウスピースの浮きを感じることがあります。歯が小さかったり低かったりすると、マウスピースがフィットしにくくなります。その結果、マウスピースが浮いてしまうことも少なくありません。
マウスピースが浮くとどのような影響がある?
マウスピースが浮いたまま矯正治療を続けると、予定していた治療結果にならないかもしれません。
インビザライン矯正中にマウスピースが浮いたままだと、以下の影響が考えられます。
- 治療計画の修正が必要になる
- 治療期間が延びる
- 粘膜に傷がつく可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
治療計画の修正が必要になる
マウスピースが浮いた状態のまま矯正治療を進めると、治療計画の修正が必要になる場合があります。マウスピースが浮いていると歯に矯正力を加えることができず、計画通りに歯が動かない可能性があるためです。
治療計画と実際の歯の動きにズレがある場合には、治療計画の立て直しが必要になるでしょう。治療計画の修正に伴い、マウスピースの作り直しが必要になる場合もあります。
治療期間が延びる
マウスピースが浮いたまま治療を進め、治療計画の修正やマウスピースの作り直しが必要になると、治療期間が延びる可能性があります。
マウスピースを作り直す場合、新しいマウスピースが手元に届くまで1か月程度かかり、その間は矯正治療を進めることができません。新しいマウスピースが届いてから治療を再開するため、治療期間が長くなるのです。
また、マウスピースの作り直しには、費用がかかる場合もあります。矯正治療に対するモチベーションが下がる可能性もあるでしょう。
粘膜に傷がつく可能性がある
マウスピースが浮いたままだと、マウスピースの辺縁がお口の中の粘膜に当たって傷がつく可能性もあります。お口の中の粘膜に傷がついて痛みが生じると、マウスピースを装着できなくなる方もいるかもしれません。
マウスピースが浮くときの対処法
インビザライン矯正中にマウスピースが浮くと感じた場合は早めに対処する必要があります。マウスピースが浮いた状態のまま放置すると、計画通りに治療が進まなかったり、粘膜に傷がついたりする可能性があるためです。
ここでは、インビザライン矯正中にマウスピースが浮いていると感じるときの対処法について解説します。マウスピースが浮いている場合の対処法は、以下の4つです。
- チューイーを使用する
- マウスピースの装着時間を見直す
- マウスピースが変形・破損していないか確認する
- 1つ前のマウスピースを使用する
それぞれ詳しく解説します。
チューイーを使用する
マウスピース装着時にチューイーを使用することでマウスピースの浮きを改善できることがあります。
指だけでマウスピースを装着すると浮きやすいですが、マウスピース装着時にチューイーを噛むことで歯に密着させることができます。特に浮いていると感じる部分はチューイーをよく噛みましょう。
マウスピースを装着するときは、日頃からチューイーを使用してマウスピースを装着することが大切です。
マウスピースの装着時間を見直す
マウスピースが浮くときは装着時間を見直してください。
インビザライン矯正中はマウスピースを1日20時間以上装着しなければなりません。食事と歯磨きのとき以外は、基本的にマウスピースを装着しなければならないのです。装着時間が不足していると、治療計画通りに歯が動かずマウスピースが浮く原因になります。
マウスピースの装着時間を見直し、守れていない場合は、1日20時間以上マウスピースをつけるようにしましょう。
マウスピースが変形・破損していないか確認する
マウスピースが浮くときは、マウスピースが変形・破損していないか確認してください。マウスピースが変形・破損しているとマウスピースが浮くことがあるためです。
マウスピースが変形・破損している場合には、すみやかに歯科医師に相談してください。
1つ前のマウスピースを使用する
1つ前のマウスピースに戻すことで浮きが改善される場合もあります。
1つ前のマウスピースで計画した位置まで歯を動かしきれていない状態で新しいマウスピースに交換すると浮くことがあります。その場合、1つ前のマウスピースに戻すことで改善できることがあるのです。
まとめ
インビザライン矯正中にマウスピースの浮きを感じるケースは少なくありません。
マウスピースの装着時間が不足していたり、正しく装着できていなかったりすると浮くことがあるのです。新しいマウスピースに交換し、歯に馴染んでいないことで浮きを感じることもあるでしょう。
マウスピースが浮いた状態を放置すると、計画通りに歯が動かなかったり、粘膜に傷がついたりする可能性があります。治療計画と実際の歯の動きにズレが生じて、治療計画の立て直しやマウスピースの作り直しが必要になるケースもあるでしょう。
マウスピースの浮きを感じたら、マウスピースの装着方法や装着時間を見直し、ご自身の管理に問題がある場合は、すぐに改善しましょう。