インビザラインによる歯列矯正は、300,000円以上の費用が必要となります。矯正費用に加えて、調整料・カウンセリング料・装置料など追加で費用がかかることもあります。インビザライン治療が完了したあとのケアも含めた、総額の費用を知ることが重要です。
今回は、インビザラインの概要や治療にかかる費用などを解説します。インビザラインの費用を安くする方法はあるのかどうかも解説するので、ぜひ参考にしてください。
インビザラインとは?
インビザラインは、取り外し可能な透明のマウスピースを用いて行う歯列矯正です。矯正治療中でも、周りの人に気づかれにくいことが魅力でしょう。
1999年からアメリカで治療が開始されました。今では世界100か国以上に技術が提供されており、1,000万人以上がインビザライン治療を受けています。
インビザラインのメリット
インビザラインの大きなメリットは、目立たずに矯正治療を受けられる点です。従来の歯列矯正ではワイヤーなどを用いるため、審美性が非常に劣ります。また、取り外しができることから、日常生活においてもさまざまなメリットがあります。
インビザラインのメリットを確認しましょう。
目立たない
インビザラインの最も特徴的なメリットです。透明で薄いマウスピースを使用するので、接客業など人前で話す機会が多い仕事に従事する方でも、口元の見た目を気にする必要がありません。
食事に支障がない
インビザラインは、飲食の際は取り外す必要があります。ワイヤー矯正の装置のように、食べ物が引っかかることはありません。
また、インビザライン矯正はワイヤー矯正と比較すると、痛みが出にくいとされています。ワイヤー矯正中は痛くて硬いものを食べられない方も多いですが、インビザラインでは好きなものを食べられるでしょう。
ただし、飲食後は、歯磨きとマウスピースの洗浄を行ってから再装着してください。
金属アレルギーでも治療できる
インビザラインのマウスピースには、金属が一切含まれていません。プラスチックでてきているので、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けられます。
衛生的に歯列矯正ができる
インビザラインでは、1〜2週間ごとにマウスピースを交換します。長期間同じマウスピースを使用することはないので、衛生的に治療を進められるでしょう。
歯磨きの際は取り外せるので、口腔内を清潔に保ちやすいです。マウスピースも洗浄できるため、虫歯や歯周病になるリスクは低いでしょう。
インビザラインで失敗しないために
詳しい費用は後述しますが、インビザラインを含む歯列矯正は決して安価な治療ではありません。当然、失敗したくないと思う方が多いでしょう。
インビザラインで失敗しないためのポイントを確認しましょう。
マウスピースの装着時間を守る
インビザラインの効果を十分に得るためには、1日20〜22時間のマウスピースの装着が必要となります。基本的に、食事中と歯磨きの時間以外は装着して過ごしましょう。
装着時間が短くなると、計画どおりに歯が動かなくなる可能性があります。
マウスピースの交換時期を守る
インビザラインは、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換しましょう。マウスピースは、現状の歯並びとは少しずらして設計されています。ずれが歯に矯正力をかけることで、歯が移動するのです。
交換時期を過ぎたにも関わらず同じマウスピースを装着し続けると、歯の移動が進みません。歯科医師に指示された交換時期を守って、矯正治療を進めましょう。
虫歯・歯周病にならない
口腔内にトラブルが発生すると、歯列矯正の継続が困難になる可能性があります。
虫歯治療で歯を削ると、製作したマウスピースを装着できなくなるかもしれません。マウスピースの再製作が必要になるため、追加の費用が発生する可能性があります。
歯周病は、細菌に感染することで歯茎に炎症が起こる病気ですが、進行すると顎の骨を溶かします。歯周病によって歯茎や顎の骨の状態が悪くなると、インビザラインによる矯正力で歯が抜ける可能性があるでしょう。
矯正治療を円滑に進めるためには、歯磨きやマウスピースの清掃を丁寧に行って、虫歯・歯周病を予防することが重要です。
インビザラインの費用相場
インビザラインの費用の相場は、矯正範囲によって大きく異なります。歯列矯正には、主に前歯部分の気になる歯並びの乱れのみを改善する部分矯正と、すべての歯並び・噛み合わせを改善する全体矯正があります。
- 部分矯正:300,000〜600,000円
- 全体矯正:700,000〜1,20,000円
治療のプロセスごとにかかる費用の相場は、以下のとおりです。
- カウンセリング・相談:0〜5,000円
- 精密検査・診断:10,000〜50,000円
- 装置:部分矯正は200,000円程度、全体矯正は600,000円程度
- 調整:1回あたり3,000〜5,000円
ただし、インビザラインの費用は歯科医院によって異なります。実際に必要な費用は、歯科医院で確認しましょう。
インビザラインとワイヤー矯正の費用比較
ワイヤー矯正は、歯に接着したブラケットにワイヤーを通し、ワイヤーの力で歯を移動させる方法です。
ブラケットやワイヤーが目立つ、痛みが出やすいなどのデメリットがありますが、確実に歯を移動させられる、取り外せないので自己管理の必要がないなどのメリットも存在します。
また、インビザラインと比較すると強い矯正力をかけられるので、同じ症例を治療する場合はワイヤー矯正のほうが早く治療が終わるでしょう。
ワイヤー矯正には、歯の表側に装置をつける表側矯正、歯の裏側に装置をつける裏側矯正、上の歯は裏側に、下の歯は表側に装置をつけるハーフリンガル矯正があります。
<矯正方法と費用>
矯正方法 | インビザライン | 表側矯正 | 裏側矯正 | ハーフリンガル矯正 |
---|---|---|---|---|
部分矯正 | 300,000〜600,000円 | 300,000〜600,000円 | 500,000〜800,000円 | 400,000〜700,000円 |
全体矯正 | 700,000〜1,20,000円 | 600,000〜1,200,000円 | 1,000,000〜1,500,000円 | 800,000〜1,300,000円 |
インビザラインと表側矯正は、それほど費用に差がないことがわかります。ワイヤー矯正は、目立たない方法を選択すると費用が高くなる傾向があるでしょう。
歯の裏側に装置を装着するには高度な技術が必要なので、費用も高くなるのです。
インビザラインは保険適用の対象になる?
基本的にインビザライン含む歯列矯正には、保険が適用されません。
ただし、以下の条件に当てはまる場合は、保険適用でインビザラインを受けられるでしょう。
- 「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
- 前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)に対する矯正歯科治療
- 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療
「別に厚生労働大臣が定める疾患」は多くありますが、先天的な疾患が該当します。
また、保険適用で矯正治療を行える医療機関も限られています。厚生労働大臣が定める施設基準を満たしており、地方厚生(支)局長に届け出た医療機関で受ける矯正治療のみ、保険が適用されるのです。
実際に保険適用となるケースは非常に稀なので、全額自己負担する必要があると考えたほうがよいでしょう。
引用元:公益社団法人日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」
インビザラインの費用を安くする方法はある?
インビザラインは保険が適用されない治療なので、高額な費用が必要になります。ここでは、治療の質を低下させずにインビザラインを安く受けられる方法をご紹介します。
保険で治療を受ける・医療費控除を利用する
保険が適用されれば、相場より安く歯列矯正を受けられるでしょう。
しかし、上述したとおり該当することは非常に稀であるため、気になる方は一度歯科医師に相談してください。
医療費控除は、年間100,000円以上の医療費を払った場合に受けられる控除です。確定申告することで、税金の一部が戻ってきます。審美目的の場合は対象になりませんが、噛み合わせの改善など、機能的な問題を解決するための治療の場合は医療費控除の対象になります。
インビザラインそのものの費用は安くなりませんが、実質的な負担は軽減できるでしょう。
矯正歯科医院が多いエリアで探す
矯正治療は基本的に自由診療なので、歯科医院が自由に費用を設定できます。歯科医院が多く競争が激しいエリアでは、市場原理が働き費用が安くなる傾向にあります。
また、アクセスしやすい都市部にある歯科医院より、地方にある歯科医院のほうが費用が安いでしょう。
モニターになる
歯科医院側が提示した条件を満たす場合、モニター価格でインビザラインを受けられる可能性があります。症例写真や治療の感想などの提供を求められることはありますが、通常の費用より安価で受けられることが非常に多いです。
まとめ
今回は、インビザラインの費用相場を中心に解説しました。治療中の見た目や費用、衛生面などから、インビザラインでの歯列矯正を選択する方が増えています。
インビザラインの費用は、部分矯正の場合300,000〜600,000円、全体矯正の場合は700,000〜1,20,000円が相場です。決して安価な治療とはいえません。
費用を安くするためには、医療費控除を利用する、矯正歯科医院が多いエリアで探す、モニターになるなどが挙げられます。
治療を受ける歯科医院は慎重に選び、指示を守ってインビザライン矯正をスムーズに進めましょう。