「インビザラインで噛み合わせが悪くなった」と聞いたことがあり、不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
インビザラインは歯並びも噛み合わせも整えられる矯正治療です。そのため、インビザラインが原因で噛み合わせが悪化することはないでしょう。
しかし、治療の途中段階では、一時的に噛み合わせが悪くなったと感じることがあります。
この記事では、インビザラインと噛み合わせについて解説します。噛み合わせが悪くなった際の対処法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
噛み合わせの重要性
一見、歯並びが揃っているように見えても、噛み合わせが悪い可能性はあります。正しい噛み合わせのポイントを知っておくことで、ご自身の噛み合わせが良いか悪いか判断できるでしょう。
以下のポイントに当てはまっていれば、正しい噛み合わせといえます。鏡で見ながら確認できますので、一度チェックしてみましょう。
- 上下の歯の真ん中(正中)が揃っている
- 上の前歯が下の前歯よりも前に出ている
- 上の前歯が下の前歯に約2~3mm被さっている
- 自然に口を閉じられる
正しい噛み合わせとは、上下の歯の真ん中が揃っており、上下左右の歯がバランスよく噛み合っている状態のことです。
これらポイントを満たしていない場合、悪い噛み合わせといえます。例えば、上の歯よりも下の歯が前に出ている反対咬合(受け口)や、上の前歯が下の前歯と噛み合っていない出っ歯、噛み合わせが深すぎる過蓋咬合(かがいこうごう)などです。
歯並びが良いように見えても、奥歯でバランスよく噛めなかったり、上の歯と下の歯が左右にズレていたりするようであれば、噛み合わせが悪いといえます。噛み合わせが悪ければ、見た目が悪いだけでなく、以下のような悪影響があるので注意が必要です。
- 食べ物が噛みにくい
- 顔貌が左右非対称になる
- 歯に負担がかかる
- 歯が欠けたり割れたりする
- 詰め物や被せ物が破損しやすい
- 顎関節症を引き起こす
- 頭痛や肩こり、めまいなどの不調につながる
噛み合わせが悪いと食べ物が噛みづらくなります。片方の歯でばかり噛み、左右の顔貌にズレが生じることがあるでしょう。
噛み合わせの悪さから歯に負担がかかると、歯だけでなく詰め物や被せ物にも負担がかかります。歯や詰め物、被せ物が外れる原因にもなるため注意が必要です。
他にも、歯に負担がかかると細かな亀裂が入り、歯がしみたり痛んだりする可能性もあります。噛み合わせが悪いまま放置していると、歯の寿命を縮めることにつながるのです。
また、噛み合わせの悪さは、顎関節や全身の不調にもつながるおそれがあります。噛み合わせが悪いと顎関節に負担がかかり、口が開きにくい、顎が痛むなど、顎関節症を引き起こすことがあるのです。
顎関節は首や肩にもつながる筋肉であるため、頭痛や肩こり、めまいなど全身の不調につながることもあります。噛み合わせの悪さを感じているなら、放置せずに治療すべきでしょう。
インビザラインで噛み合わせは治せる?
インビザラインは、歯並びだけでなく噛み合わせも整えられる矯正治療です。インビザラインは、精密検査やシミュレーションによって1人1人に合った治療計画を立てられます。
ただし、インビザラインはマウスピースの装着時間や交換時期、装着方法を守って治療を進めなければなりません。マウスピースの管理ができなければ、思うような結果が得られない可能性があります。
インビザラインで噛み合わせを改善するためには、歯科医師の指示を守り、マウスピースを管理することが大切です。
インビザライン矯正中に噛み合わせが悪くなることはある?
インビザラインは、歯並びと噛み合わせを整えられる治療のため、インビザラインが原因で噛み合わせが悪化することはありません。
しかし、治療の途中段階で、一時的に噛み合わせが悪くなったと感じることがあります。インビザラインだけでなく他の矯正治療でも起こることで、歯の移動が完了していないことが原因です。インビザラインの治療がすすみ、歯が理想的な位置まで動けば噛み合わせは良くなるでしょう。
また、インビザラインの治療中に噛み合わせが高くなったと感じる場合もあります。これは、インビザラインのマウスピースを装着することが原因です。マウスピースは0.5mmという薄さではあるものの、上下に装着すると1cmの厚さになるからです。
他にも、マウスピースを初めて装着した時や新しいマウスピースを装着した直後に、噛み合わせに違和感を覚えることがあります。噛み合わせの高さや違和感も、マウスピースを1日20~22時間装着し、歯が移動すれば解消されるでしょう。
インビザライン矯正中に噛み合わせが悪くなったときは
上述した通り、インビザライン矯正中に噛み合わせが悪くなっても、一時的なものであれば問題ありません。マウスピースの装着方法を守り、理想的な位置に歯が移動すれば噛み合わせは改善されます。
ただし、以下の原因で噛み合わせが悪くなった場合、トラブルに発展する可能性があるでしょう。
- マウスピースの装着時間が短い
- マウスピースの装着方法が間違っている
- マウスピースが破損している
上記の原因で噛み合わせが悪くなった場合の対処法をご紹介します。
担当の医師に相談する
インビザライン矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じた場合は、まずは歯科を受診しましょう。噛み合わせの悪化が、治療の途中の一時的なものなのか、トラブルによるものなのかを患者様自身で判断するのは難しいです。
「一時的なものだ」と自己判断せず、まずは歯科医師に診てもらいましょう。インビザライン矯正中の歯の移動によるものと判断されれば、治療がうまくすすんでいるという証拠です。
しかし、トラブルが原因で噛み合わせが悪い場合もあります。間違った方向に歯が動いており、修正のためにマウスピースの追加が必要になるかもしれません。
マウスピースの追加が必要になると、その分治療期間や費用がかかります。噛み合わせが悪いと感じた時点で、すぐに歯科を受診するようにしましょう。
装着時間を厳守する
インビザラインは、マウスピースを1日20~22時間以上装着することで歯並び・噛み合わせを改善します。マウスピースの装着時間が短すぎるようであれば、歯の移動が不十分になって噛み合わせが悪くなるでしょう。
インビザラインのマウスピースの着脱回数が多い場合や、装着忘れが続いた場合などは、治療がうまく進みません。噛み合わせが悪くなることがあります。
マウスピースの装着時間を厳守するには、できるだけ着脱回数を少なくすることが重要です。食事や歯磨きが終わればすぐにマウスピースを装着する、間食を控えるなど、意識して装着時間を確保しましょう。
装着方法を見直す
インビザラインでは、歯とマウスピースが密着することで理想的な位置に歯が移動します。マウスピースを正しく装着することも大切なのです。
マウスピースが浮いている、ズレているなど適切に装着できていなければ、間違った方向に歯が動くかもしれません。
マウスピースを正しく装着するには、まず指でマウスピースを装着し、その後チューイーを全体で噛むようにしましょう。特に、初めてマウスピースを装着する時やマウスピースを交換した直後は注意が必要です。
マウスピースに変形・破損があれば使用しない
毎回マウスピースを装着する際に、マウスピースに変形・破損がないか確認しましょう。インビザラインはマウスピースの形に合わせて歯を移動させるため、マウスピースが変形・破損していれば間違った方向に歯が動くでしょう。予定していない位置に歯が移動すると、噛み合わせが悪くなることがあるのです。
万が一マウスピースの変形・破損に気付いた際はすぐに使用を中止し、歯科を受診してください。マウスピースに不備がある際は作り直しが必要になります。出来上がりまでには約1か月程度かかるでしょう。
まとめ
インビザラインは、歯並びと噛み合わせを同時に整えられる治療です。基本的には、インビザラインが原因で噛み合わせが悪化することはありません。
しかし、治療の途中段階で、一時的に噛み合わせが悪くなったと感じることがあります。インビザラインの治療がすすみ、歯が理想的な位置まで動けば改善されるでしょう。
マウスピースの装着時間や装着方法が守れていないことが原因で、噛み合わせが悪くなっている場合もあります。正しい歯並び・噛み合わせにならず、トラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
インビザライン矯正中の噛み合わせの悪化が、治療の途中段階で一時的なものなのか、トラブルによるものか患者様自身で判断するのは難しいでしょう。インビザライン矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じた場合、まずは歯科を受診してください。