家族や友人から「寝ている間に歯ぎしりをしているよ」と言われたことがある方もいるのではないでしょうか。「インビザライン矯正したいけど歯ぎしりの癖がある」と不安に思う方もいるでしょう。
今回は、歯ぎしりの原因や、癖があってもインビザライン矯正はできるかについて解説していきます。歯ぎしりで悩んでいる方や、インビザライン矯正をしようとしている方はぜひ参考にしてください。
目次
歯ぎしりとは?
歯ぎしりは、主に寝ている間、もしくは起床時に無意識のうちに強い力で歯と歯をすり合わせて音を立てることです。歯ぎしりは、以下の3つに分けられます。
- グラインディング:上下の歯を左右にすり合わせる
- クレンチング:上下の歯を強く噛み合わせる
- タッピング:上下の歯をカチカチと噛み合わせる
現在日本人の70%の人が歯ぎしりを経験していることがわかっていますが、多くの場合自覚していません。
歯ぎしりの原因
現状、どのような原因で歯ぎしりが起きるのか正確にはわかっていません。直接的な原因ではないものの、以下の4つの原因が考えられています。
ストレス
歯ぎしりの原因の多くは、ストレスとされています。普段の生活で抱えたストレスを、寝ている際に歯ぎしりをすることで解消しようとしていると考えられています。
ストレスが解消されたとしても、歯にはダメージが加わっています。長期的に続く場合は改善したほうがよいでしょう。
飲酒・喫煙などの嗜好品
明確な因果関係は解明されていませんが、過度な飲酒や喫煙が原因で歯ぎしりが起こると考えられています。アルコールやニコチンの摂取は、歯ぎしりの症状を悪化させる要因の一つといえるでしょう。
噛み合わせが悪い
噛み合わせが悪い場合も、歯ぎしりをしやすくなります。噛み合わせが悪いと部分的に強く噛み合う部分が生じるなどして歯ぎしりの原因になることがあるのです。
枕が合っていない
寝ている姿勢が悪い場合も、歯ぎしりにつながる可能性があります。高い枕を使っていたり合わない枕を使用したりしていると、顎を引く姿勢になるため奥歯を噛み締めやすくなります。
不安定な姿勢で睡眠をとると睡眠が浅くなるでしょう。睡眠の質が低下するとストレスが溜まり、歯ぎしりのリスクを高めます。
歯ぎしりをすると歯にどのような影響がある?
無意識に行う歯ぎしりでは、非常に大きな負担を歯にかけています。どのような影響があるのか確認しましょう。
歯が割れる
歯ぎしりなどで強い力が加わると、歯が割れることがあります。特に割れやすいのは、小臼歯や大臼歯などです。前歯に比べて、小臼歯や大臼歯は噛む力が強いためです。
タッピングやクレンチングを行う方は、歯が割れるリスクが高いでしょう。
歯根破折
虫歯や歯周病の次に歯を失う要因が、歯根破折です。強い歯ぎしりが続いている場合、歯根破折につながる可能性があります。
歯根破折を起こすと、歯を残すことが難しくなります。抜歯することになるため、大切な歯を失います。
歯周病の発症・悪化
歯ぎしりをしていると歯周病が発症・悪化しやすいです。歯周病は、歯垢の中に存在する細菌によって口腔内が炎症を起こす疾患です。症状が進行すると、顎の骨が溶けて歯を失うリスクこともあります。
歯ぎしりをすると歯だけでなく顎の骨にも負担がかかるので、歯周病を発症しやすくなるのです。
詰め物やかぶせ物が取れやすくなる
歯ぎしりをする人は、詰め物やかぶせ物が取れやすいです。長期にわたって強い力がかかると、詰め物や被せ物にも負担がかかります。
取れただけであれば再装着できるかもしれませんが、割れるケースも多いです。
顎関節症になりやすい
歯ぎしりをしていると、顎関節や周囲の筋肉にも負担をかけます。口を開くと痛む、カクカクと音が鳴るなど、顎関節症の症状が現れるかもしれません。
歯ぎしり癖があってもインビザライン矯正はできる?
歯並びを整えたいと考える方が増加しており、透明で目立たない装置を使用するインビザラインが注目を集めています。歯並びの悪さは歯ぎしりの要因にもなるため、改善するためにインビザラインを検討している方もいるでしょう。
歯ぎしりの癖がある人がインビザライン矯正を受けられるかは、歯ぎしりの状態によって異なります。意識的に行っており、改善できる場合はインビザライン矯正が可能でしょう。疲れた時に一時的に行うなど、習慣化していない場合も治療を受けられることがあります。
長時間かつ無意識に歯ぎしりをしている場合はインビザラインは難しいでしょう。インビザラインで使用するマウスピースは0.5mmほどの厚みしかないため、歯ぎしりによって力が加わると割れる可能性があります。
マウスピースが割れると、口内を傷つけるかもしれません。睡眠中の場合は破片を飲み込み、食道などが傷つく可能性もあるでしょう。
マウスピースが破損すると新しいマウスピースを作成しなければならず、治療が遅れます。そのため、強い歯ぎしりの癖がある場合はインビザラインは適さないでしょう。
ご自身に合う治療法は、歯科医師と相談しながら確認する必要があります。
歯ぎしりでマウスピースが割れたときは
上述したように、歯ぎしりが原因でマウスピースが割れることがあります。万が一マウスピースが割れてしまった場合の対処法を確認しましょう。
マウスピースが割れた場合は、歯科医院で補修するか再作成するのが一般的です。少しヒビが入った程度なら修理できることがありますが、再作成することも多いでしょう。
完全に割れておらず装着できる状態だとしても、まずは歯科医師に連絡してください。割れたマウスピースを装着し続けると、適切な矯正力がかからないことで想定していない位置に歯が移動する可能性があります。
マウスピースを再作成する場合、新しいマウスピースが届くまで1ヶ月ほどかかります。その間何も装着せずに過ごすと歯がもとの位置に戻る後戻りを起こすかもしれません。
そのため、1つ前のマウスピースを装着するよう指示されることが多いです。使い終わったマウスピースも、万が一に備えて保管しておきましょう。
歯ぎしりを改善するためには
歯ぎしりの原因ははっきりしていないため完全に治すことは困難です。
しかし、症状を軽減することは可能でしょう。3つの方法を解説していきます。
歯ぎしり用のマウスピースを装着する
特に、睡眠中に無意識に歯ぎしりを行う場合は、ナイトガードというマウスピースを使用すると効果的です。上下の歯の間でクッションの役割を果たすため、歯ぎしりによる影響を軽減できるでしょう。
しかし、インビザライン矯正中は睡眠中も矯正用のマウスピースを装着しなければなりません。併用するのは難しいので、ご自身に合う方法を探しましょう。
意識して改善する
歯ぎしりをしている自覚がある場合は、意識して改善しましょう。家族や友人に協力してもらうことも効果的です。
目にみえる場所に貼り紙をする、定期的にアラームを鳴らして確認するなど、歯ぎしりをしていないか確認しましょう。
顎をマッサージする
顎の筋肉をマッサージすることも、歯ぎしりを改善する効果が期待できます。歯ぎしりが影響して、顎の筋肉が硬直していることもあるでしょう。顎の周辺を指でやさしく円を描くようにマッサージしてください。筋肉をほぐせば、本来あるべき位置に顎が戻りやすくなります。
まとめ
今回は、歯ぎしりが歯に与える影響と、インビザライン矯正の関係性について解説しました。軽度であれば、歯ぎしりをしていてもインビザライン矯正を受けられるでしょう。
しかし、無意識に強く歯ぎしりをする場合は、インビザラインは適していないかもしれません。歯ぎしりの衝撃によってマウスピースが割れると、治療がスムーズに進まないためです。
歯科医師と相談しながら、ご自身に合う矯正方法を選択しましょう。