「出っ歯が気になるけど、大人になってからでも矯正できるのかな?」「出っ歯の矯正治療にはどんな方法があるんだろう?」など、お悩みの方もいるのではないでしょうか。出っ歯は見た目に大きく影響を与えるので、矯正治療で改善したいと思う方も多いです。矯正治療を検討する場合、気になるのは費用や治療期間ではないでしょうか。
今回は、出っ歯の概要や原因、放置するリスク、大人の出っ歯を改善する方法や治療期間、費用について解説します。
目次
出っ歯とは?
出っ歯とは、顔を横から見たときに上顎の歯が前に出ている状態のことです。歯科用語では、上顎前突(じょうがくぜんとつ)といいます。
口を閉じたときに唇が突き出た横顔になるのがコンプレックスという方は、出っ歯が原因かもしれません。いわゆる口ゴボですが、下の歯より上の前歯が4mm以上出ていると、出っ歯と診断されます。
出っ歯になる原因
出っ歯になる主な原因は、以下のとおりです。
- 遺伝
- 顎の成長異常
- 幼少期の頃の癖
それぞれ順番に解説します。
遺伝
大人の出っ歯の原因の一つとして挙げられるのが、遺伝です。両親や祖父母に出っ歯の方がいる場合、遺伝子が受け継がれて出っ歯になる可能性があります。
出っ歯が直接遺伝するというより、顎の形や歯の大きさなど、口周りの骨格が遺伝することで、出っ歯になりやすいのです。上顎が大きい、下顎が小さいなどの骨格が遺伝すると、出っ歯になるでしょう。
顎の成長異常
顎の成長に異常がある場合、歯並びが整わず出っ歯になることがあります。例えば、上顎が大きく発達しすぎた場合や、下顎が未発達で小さすぎる場合は、上の前歯が前方に出やすくなるでしょう。
顎の大きさのバランスが整っていないと、出っ歯だけでなく、八重歯やすきっ歯などの原因にもなりやすいです。
幼少期の頃の癖
幼少期の頃の癖が影響して、大人になってから出っ歯になる場合があります。出っ歯の原因になる癖は、以下のとおりです。
- 指しゃぶりをする
- 鉛筆を噛む
- 舌で上の前歯を押す
- うつ伏せで寝る
上記の癖が続くと、上の前歯が前方に押し出されるような力が加わり続けます。こどもは大人と比べて顎の骨が柔らかく、弱い力でも歯並びが変化します。毎日の癖で徐々に歯が傾き、出っ歯になるのです。
出っ歯を放置することによるリスク
出っ歯を放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか。考えられるリスクは、以下のとおりです。
- 前歯を損傷しやすい
- 顎関節症になりやすい
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 口臭が強くなる可能性がある
- 精神的なダメージを負いやすい
それぞれ順番に確認しましょう。
前歯を損傷しやすい
出っ歯の場合、前歯を損傷しやすくなります。例えば、転んで道路に顔面を強打したときに前歯が欠ける、球技でボールが顔面に直撃して歯が折れるなど、歯に直接ダメージが加わる可能性が高いです。
同じ状況でも、出っ歯ではなければ唇で保護されているため、重度に損傷することはないでしょう。バスケットボールのような人同士が激しくぶつかり合う競技では、前歯が当たって相手を怪我させることもあります。
顎関節症になりやすい
出っ歯の方は、顎関節症になるリスクが高いです。出っ歯の状態では前歯がうまく噛み合わないので、奥歯に負担がかかりやすいからです。
また、生まれつき顎の成長に異常があって出っ歯となっている場合も、顎関節症を引き起こしやすいでしょう。下顎が小さすぎる、ゆがみがあるなど、顎にかかる負担が大きくなるため、顎関節症になりやすいといえます。
虫歯や歯周病になりやすい
出っ歯の方は、虫歯や歯周病などの歯のトラブルを引き起こしやすいです。出っ歯の場合、前歯が邪魔して口をうまく閉じられず、口の中が乾燥しやすいことが原因として挙げられます。
唾液には口の中を潤す以外に、歯を細菌から守る作用や、口の中をきれいに保つ作用があります。口の中が乾燥して唾液が少なくなると、唾液の作用が失われるため、ほかの人よりも虫歯や歯周病になるリスクが上がるのです。
口臭が強くなる可能性がある
出っ歯が原因で、口臭が強くなる可能性があります。口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすい状態になるからです。
出っ歯になると歯と歯の間にすき間が生まれて通気性がよくなるため、乾燥しやすくなります。口の中が乾燥すると、においの原因である菌や汚れが口の中で増殖し、強い口臭として現れることがあるでしょう。
精神的なダメージを負いやすい
出っ歯を放置すると、精神的なダメージを受ける可能性があります。例えば、出っ歯のせいで横顔がきれいに見えずコンプレックスに感じる、食べ物が噛みづらくて食事を楽しめないなどが挙げられます。
生活のさまざまなシーンでストレスを感じるたびに、精神的なダメージを負うのです。出っ歯を気にすることで日常的に歯を隠し、人前で笑顔になることが減る可能性もあるでしょう。
大人の出っ歯の矯正方法
大人の出っ歯を矯正する方法は、大きく分けると主に以下の2つです。
- 部分矯正
- 全体矯正
それぞれ詳しく解説します。
部分矯正
部分矯正は、その名のとおり出っ歯になっている前歯の部分だけを矯正する方法です。出っ歯の程度が軽度で、ほかの歯を動かす必要がない場合に行われます。
治療の種類としては、ワイヤー矯正やマウスピース矯正があります。どの治療法を選択するかは歯の状態に合わせて歯科医師が判断しますが、気になることがあれば診察のときに遠慮せずに質問しましょう。
全体矯正
全体矯正は、すべての歯を移動させて出っ歯を改善する方法です。一部分だけ矯正しても歯並びが整わないと予測される場合は、全体矯正が行われます。
治療の種類はワイヤー矯正やマウスピース矯正があり、部分矯正と大きく変わりません。歯全体を動かすため、治療中の痛みや違和感は全体矯正のほうが強いです。
大人の出っ歯治療にかかる期間
大人の出っ歯治療にかかる期間は、治療の種類と範囲によって異なります。ワイヤー矯正は1〜3年ほど、マウスピース矯正は半年〜3年ほどの期間が必要になるでしょう。
また、治療する歯の本数が少ないほど治療期間は短くなるのが一般的です。
しかし、歯の移動速度には個人差があり、整える難易度は症例によって異なります。部分矯正のほうが早く治療が終わるとは限りません。
大人の出っ歯治療にかかる費用
大人の出っ歯治療にかかる費用は、矯正治療の種類によって大きく変動します。ワイヤー矯正は500,000〜1,500,000円、マウスピース矯正は500,000〜1,200,000円ほどです。
ワイヤー矯正は、歯の表側に器具を装着する表側矯正なのか、歯の裏側に器具を装着する裏側矯正なのかによっても費用が違います。表側矯正のほうが、費用が安いことが多いでしょう。
どの治療も歯科医院によって費用が異なるため、事前に確認してください。
まとめ
今回は、大人の出っ歯治療について解説しました。
出っ歯の原因は、遺伝や顎の成長異常、幼少期の癖などが挙げられます。大人の出っ歯を放置すると、虫歯や歯周病、顎関節症になりやすい、口臭が強くなる、コンプレックスになるなど、心身ともにさまざまなリスクがありますが、矯正で治療可能です。
出っ歯の矯正にはいくつか種類があるため、歯科医師と相談してベストな治療法を選択しましょう。治療メニューや費用は歯科医院によって異なります。事前に確認し、複数の歯科医院を比較して決定しましょう。