マウスピース矯正を検討している方は、インビザラインという言葉を聞いたことがあるかもしれません。「インビザラインって何だろう?」「インビザラインとほかの矯正方法はどう違うの?」「治療完了までに何年くらいかかるの?」などの疑問を持つ方も多いでしょう。
今回は、インビザラインの特徴やメリット・デメリット、ほかの矯正との違いについて解説します。インビザライン矯正を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
インビザラインとは?
インビザラインは、世界中の多くの歯科医院が採用しているマウスピース矯正ブランドの一つです。日本においても、マウスピース矯正を取り扱う多くの歯科医院が、インビザラインを採用しています。
インビザラインでは、採得した歯型を3D技術で分析し、治療計画を策定します。歯並びや口腔内の状態を考慮して、オーダーメイドのマウスピースが作成されて矯正治療が行われるのです。
3Dシミュレーションによって、治療前から矯正後の歯の状態を具体的にイメージすることが可能です。
インビザラインには、年間の症例数によって認定されるプロバイダーという制度があります。インビザラインの症例数によって、ステータスランクが歯科医院に与えられるのです。与えられたステータスランクは、1年ごとにリセットされます。
与えられるステータスランクは、以下のとおりです。
- ブロンズプロバイダー:年間症例数1~10
- シルバープロバイダー:年間症例数11~20
- ゴールドプロバイダー:年間症例数21~50
- プラチナプロバイダー:年間症例数51~100
- プラチナエリートプロバイダー:年間症例数101~150
- ダイヤモンドプロバイダー:年間症例数151~400
- ブラックダイヤモンドプロバイダー:年間症例数401~750
- ブルーダイヤモンドプロバイダー:年間症例数751~1,000
- レッドダイヤモンドプロバイダー:年間症例数1,001以上
インビザラインでは、実際に治療を行う歯科医師の経験やスキルを確認し、治療を受ける歯科医院を決めることが重要です。症例数が多い歯科医院は、専門的な知識が豊富といえます。
歯科医院を選ぶ際は、ステータスランクを確認するとよいでしょう。
インビザラインの治療期間
インビザラインの治療期間は、矯正の範囲や患者様の歯並び・噛み合わせの状態によって異なります。
目安は、以下のとおりです。
- 部分矯正:半年〜1年
- 全体矯正:2〜3年
歯並びや噛み合わせの問題が軽度の場合、部分矯正が適しています。治療は1年以内で終了することが多いです。
一方、全体矯正を行う場合は、2〜3年程度の治療期間が必要になるでしょう。
インビザラインとほかの矯正方法の違い
インビザラインは、マウスピースを用いた矯正治療の一種です。矯正治療を始める前に、ほかのマウスピース矯正や従来のワイヤー矯正との違いをしっかり理解することが重要です。
以下、インビザラインとほかの矯正方法との違いを解説します。
インビザラインとほかのマウスピース矯正との違い
インビザラインは、ほかのマウスピース矯正に比べて適応症例が多いことが特徴です。ほかのマウスピース矯正は軽度から中度の歯並びのみを対象としているのに対し、インビザラインは重度の歯並びの乱れも治療することが可能です。
経験豊富な歯科医師の場合、一般的にマウスピースでの治療が困難とされる症例でも、インビザラインを用いて改善しているケースがあります。
また、インビザラインでは、精密検査の段階で専用の機械を使って3Dシミュレーションを行います。シミュレーションの結果をもとに、複数のマウスピースを作成するのです。
治療中は、1〜2週間ごとにマウスピースを交換し、2〜3か月に一度の頻度で歯科医院を訪れて微調整を行います。歯型採取は初回の1回のみなので、患者様の負担は少ないでしょう。
一方で、ほかのマウスピース矯正では、精密検査のあとで治療計画を決定します。シミュレーションを行わないので、定期的に歯科医院に通院しなくてはなりません。通院のたびに歯型の採取や微調整を行うケースも少なくないでしょう。
インビザラインとワイヤー矯正との違い
ワイヤー矯正は、ブラケットを歯に固定して、ブラケットにワイヤーを通して歯を動かします。最大の特徴は、取り外すことができない点です。
一方で、インビザラインは取り外し可能なマウスピース使用して歯を動かします。食事や歯の清掃の際に取り外せることは、大きな違いでしょう。
ただし、ワイヤー矯正は、インビザラインと比べて一度の調整で動かす歯の距離が大きく、複雑な動きを必要とする症例にも対応しています。インビザラインでは治療が困難なケースでは、ワイヤー矯正を選択する場合が多いです。
インビザラインのメリット
インビザラインのメリットは、以下のとおりです。
目立ちにくい
インビザラインは、透明かつ薄いマウスピースを使用するため、ワイヤー矯正と比較して目立たないことが大きなメリットでしょう。特に「接客業なので矯正装置が目立つと困る」「記念写真の際に矯正装置が目立つのは嫌だ」「矯正装置が恥ずかしくて口を開けられない」など、見た目を気にする方にはインビザラインが向いています。
しっかりフィットする
インビザラインは、ほかのマウスピース矯正に比べて、歯の形状にしっかりとフィットするよう設計されています。特に、歯と歯茎の境目に沿ってマウスピースがカットされているので、歯茎を刺激することがありません。違和感なく使用できるのです。
ほかのマウスピース矯正に比べると適応症例が多い
多くのマウスピース矯正は、軽度から中度の歯並びの調整に使用されます。
しかし、インビザラインは、重度の歯並びや抜歯が必要な症例にも対応していることが特徴です。従来のマウスピース矯正では対応が難しかったケースも、治療が可能なのです。
痛みが少ない
インビザラインのマウスピースは、1枚ごとに歯を微細に動かすよう設計されています。1枚のマウスピースで移動させる歯の最大距離は、0.25mmと制限されています。
そのため、矯正治療時の痛みを大幅に軽減できるでしょう。痛みを気にして矯正治療をためらっていた方にとって、大きなメリットといえます。
症例数が多い
インビザラインは、国内外で多数の歯科医師が採用しており、多くの症例での実績があります。信頼性や安全性が確認されているので、安心して治療を受けられるでしょう。
インビザラインのデメリット・注意点
インビザラインで矯正治療を受けるにあたって、デメリットや注意点について把握しておくことは大切です。メリットとデメリットの両方をしっかりと考慮し、納得したうえで治療を決定してください。
装着時間を守らなければならない
インビザラインは、最低でも1日20時間装着しなければなりません。一般的に、1日20〜22時間の装着が推奨されています。取り外しが可能なので、食事や口腔ケアの時間などには一時的に外すことができます。
しかし、1日の多くの時間はマウスピースを装着することが求められるでしょう。装着時間が短いと治療の進行が遅れ、治療期間が延びる可能性があります。
適応できない症例もある
インビザラインは多くの症例に対応していますが、すべてのケースに適応できるわけではありません。特に、複数本の抜歯が必要なケースや手術が必要なケースでは、ワイヤー矯正のほうが適している場合もあります。
どちらの治療方法を採用するかは、歯科医師と相談して決めてください。
装着方法と交換時期を守る
インビザラインを使用する際、正確な装着方法とマウスピースの交換時期を守ることが必要です。例えば、マウスピースを装着するときは、チューイーという器具を使って装着しましょう。
また、1〜2週間に一度のペースで新しいマウスピースに交換する必要があります。誤った方法でマウスピースを装着する、交換のタイミングを間違えるなどすると、矯正治療が計画どおりに進みません。
インビザラインで治療できる歯並び
インビザラインで治療できる歯並びは、以下のとおりです。
- 出っ歯
- 受け口
- 八重歯
- すきっ歯
- ガタガタした歯並び
どの症例でも、骨格に問題はないのかなどの要因は考慮します。骨格に問題がある場合や極端に歯並びが悪い場合などは、インビザラインだけでの治療が困難なことがあります。
インビザラインだけで治療できない場合、ワイヤー矯正を併用する、外科手術を行うなどして対応するでしょう。
インビザラインの費用
インビザラインの矯正治療は、基本的に自由診療として行われます。そのため、治療の詳細な費用は、歯科医院ごとに異なることが多いです。
費用の目安は、以下のとおりです。
- 部分矯正:300,000〜400,000円
- 全体矯正:600,000〜1,000,000円
ただし、上記の費用は矯正治療のもので、調整費用や精密検査料金などの費用が別で必要な場合があります。上記の目安よりも実際の費用が高くなることもあるでしょう。
調整料金や、精密検査の料金、矯正治療終了後の健診費用など、すべて含めたトータルフィー制度を採用している歯科医院もあります。治療を開始する前に費用を確認し、納得したうえで進めてください。
まとめ
インビザラインは、世界で最も多くの医師が採用しているマウスピース矯正です。多数の実績があり、信頼性が高いことから非常に人気があります。
目立ちにくく取り外しでき、通院頻度が少ないため、仕事が忙しい社会人でも矯正治療に踏み切りやすい点がメリットです。
ワイヤー矯正と比べると、インビザラインでは適応が難しい症例もあります。装着時間をしっかり守るなど、自己管理が重要なことがデメリットでしょう。
治療を受ける前にメリットとデメリットを理解し、歯科医師と話し合って治療方針を決定してください。正しい治療を選択すれば、理想的な歯並びと噛み合わせを得られるでしょう。