お口の状態によって異なりますが、インビザラインの治療期間は平均して1~3年といわれています。「マウスピースの交換を早めれば治療が早く終わるのでは?」と思う方もいるでしょう。
しかし、自己判断で交換時期を早めると、違和感や痛みが出ることがあります。歯並びが悪化するなどのトラブルに発展する恐れもあるでしょう。
この記事では、インビザラインの交換を早める方法やリスクについて解説します。
目次
インビザラインの交換を早めることはできるのか
インビザラインでは、マウスピースを1日20~22時間以上装着し、1~2週間ほどで新しいものに交換し少しずつ歯を動かします。毎日しっかりマウスピースを装着して治療計画よりスムーズに歯が動いている場合は、交換時期を早められることがあるでしょう。
ただし、マウスピースの交換を早めれば治療が進むというわけではありません。インビザラインで歯を動かせる距離は、マウスピース1枚あたり最大0.25mm、1か月で約1mmです。
装着時間や交換時期を守らなければ治療計画とズレが生じ、マウスピースが合わなくなって歯・歯茎・顎の骨にダメージを与える可能性があります。自己判断でインビザラインの交換時期を早めると反対に歯の移動の妨げになり、治療期間が延びることもあるのです。
交換時期に関しては、必ず歯科医師の指示に従うようにしましょう。
自己判断でインビザラインの交換を早めるリスク
自己判断でインビザラインの交換時期を早めることによって、以下の3つのリスクが生じる可能性があります。
歯や歯茎に違和感・痛みが出る
インビザラインはマウスピースによって力を加え少しずつ歯を動かすため、違和感や痛みが少ない治療といわれています。
しかし、十分に歯が移動していないにも関わらずマウスピースを交換すると、無理な力がかかります。歯や歯茎、顎の骨にダメージを与え、違和感や痛みが出る場合があるでしょう。
歯並びが悪化する
治療を進めるために交換時期を早めたはずが、反対に歯並びが悪化することがあります。インビザラインは、マウスピースの形に沿って歯を移動させて歯並びを整える治療です。
十分に歯が動いていない状態で新しいマウスピースを装着すると、予定していない方向に力が加わって歯並びが悪化することがあります。
治療期間が延長する
インビザラインの交換時期を早めて歯並びが悪化すると、改善するためにマウスピースの追加が必要になることがあります。追加のマウスピースが完成するまでにかかる期間は約1ヵ月です。届くまでの間は治療が進まないため、治療期間が予定よりも延びるしょう。
また、治療期間の延長やマウスピースの作り直しに伴い、追加費用がかかる場合もあります。早く治療を終えるために交換時期を早めたはずが、結果的に治療期間や費用の負担を増加させることがあるのです。
インビザラインの交換時期は自己判断で早めず、歯科医師の指示を守りましょう。
インビザラインの一般的な交換日数
お口の状態によって異なりますが、インビザラインの一般的な交換日数は1~2週間です。
マウスピースの装着時間が短かったり歯の動きが悪かったりする場合には、予定よりも交換時期が遅くなる可能性あります。歯が予定よりスムーズに動いていれば、インビザラインの交換時期を早められることもあるでしょう。
お口の状態によって、インビザラインの交換時期は異なります。定期的に通院し、歯科医師の診察を受けることが大切です。
インビザラインの交換日数を決める要素
基本的なインビザラインの交換日数は1~2週間ですが、お口の状態などによって変動します。ここでは、インビザラインの交換日数に影響を与える4つの要素について解説します。
歯並びの状態
インビザラインの交換日数に最も影響を与えるのが、歯並びです。歯並びの乱れが軽度の場合は、歯を動かす本数が少なかったり距離が短かったりするため、短期間で治療できることが多いでしょう。
歯並びの乱れが重度の場合は、治療期間もマウスピースの交換日数も増える傾向にあります。動かす歯の本数や距離が大きくなればなるほど、必要なマウスピースの枚数が増えるからです。
また、歯の重なりが大きいと歯が動きにくいため、マウスピース1枚の装着日数を増やし交換を遅らせる場合があります。特に、重度の叢生などで歯の重なりが大きい場合や抜歯が必要な場合は、マウスピースの交換日数が長くなることが多いでしょう。
年齢
インビザラインで歯を動かす際は、顎の骨の吸収と再生を繰り返します。骨の吸収・再生の速度は代謝によって左右されるため、代謝が良い若い方ほど歯の移動が早く、加齢とともに歯が動きにくくなるといえます。
そのため、年齢的に歯が動きにくいと考えられる方は、交換日数が長くなりやすいでしょう。
歯周病の有無
健康な歯茎の方に比べると、歯茎の状態が悪い方は歯の動きが悪い傾向にあります。そのため、歯周病を患っている方は、マウスピースの交換時期が長くなるでしょう。
また、歯周病の進行具合によっては、インビザライン矯正が受けられない場合があります。歯周病が重症化すると顎の骨の吸収が進み、歯がグラつくことがあるからです。
歯茎の状態が悪いままインビザライン矯正を受けると、マウスピースの力に耐えられず歯が抜け落ちてしまうことも考えられます。
マウスピースの装着時間
インビザラインでは、マウスピースを1日20~22時間以上装着することを前提に治療計画を立てます。マウスピースの装着時間が短くなると歯の移動が計画通りに進まないので、マウスピースの交換時期を遅らせることがあるでしょう。
マウスピースの交換時期を遅らせると、治療期間が延びます。マウスピースの装着時間と交換時期を守ることが、治療を長引かせないことにつながります。
インビザライン矯正をスムーズに進めるためにできること
ここでは、インビザライン矯正をスムーズに進めるために気を付けたい3つのポイントについて解説します。
マウスピースの装着時間や交換時期を守る
インビザラインはマウスピースを自由に取り外しできるのがメリットですが、装着時間が短いと治療をスムーズに進められません。交換時期も遅くなるため、当初の予定よりも治療期間が長くなる可能性が高いでしょう。
また、自己判断でマウスピースの交換時期を早めると、歯並びが悪化したり痛みが生じたりする恐れもあります。マウスピースの装着時間や交換時期を守り、スムーズに治療を進められるようにしましょう。
チューイーを使用する
チューイーとは、インビザラインのマウスピースを歯にしっかり装着するために使う器具です。
インビザライン矯正は、マウスピースによって力がかかることで歯を動かします。そのため、歯にしっかりマウスピースが密着していないと、適切な力がかからず治療計画通りに歯を動かすことができません。
特に、新しいマウスピースに交換した直後は、手指だけではマウスピースを装着しにくい場合があります。チューイーを使用し、しっかりとマウスピースを装着しましょう。
定期的に通院する
インビザライン矯正は、ワイヤー矯正よりも通院頻度が低いのがメリットです。
しかし、自己判断で通院を辞めると、治療がうまく進まないことがあるでしょう。ご自身では問題がないと思えても、マウスピースの調整や追加が必要であったり、口内トラブルが起こっていたりすることがあるのです。
通院の間隔があまりにも空くと、治療計画の修正により治療期間が延びることもあります。インビザライン矯正をスムーズに進めるためには、歯科医師に指示された頻度で通院することが大切でしょう。
まとめ
一般的なインビザラインのマウスピースの交換時期は1~2週間です。歯が治療計画よりスムーズに動いている場合は、インビザラインの交換時期を早められることもあります。
しかし、交換時期を早めれば、治療期間が短くなるとは限りません。自己判断で交換時期を早めることによって、痛みが出たり歯並びが悪化したりすることがあるのです。
インビザラインは、綿密な治療計画によって交換時期も決められています。必ず歯科医師の指示に従いましょう。