インビザラインでは、マウスピースだけでなくアタッチメントというボタンを歯の表面に付けることがあります。「どんな役割があるの？」「いつまで必要？」「痛みはある？」など、アタッチメントについて疑問がある方は多いのではないでしょうか。
この記事では、インビザラインのアタッチメントの役割や注意点を解説し、よくある疑問に回答していきます。
目次
インビザラインのアタッチメントとは
インビザラインでは、マウスピースと併せてアタッチメントというボタンのような器具を使用することがあります。歯の表面に付けるため、食事や歯磨きの際に違和感が出ることがあります。
しかし、インビザラインのマウスピースを装着すれば、アタッチメントが覆われるので気にならないことが多いです。また、アタッチメントはコンポジットレジンという素材でできており、人体に無害なので安心して使用できます。
インビザラインのアタッチメントの役割
アタッチメントの役割は、以下の2つです。
マウスピースと歯の密着度を高める
マウスピースの形に合わせて歯が移動するため、マウスピースと歯が密着していなければ計画どおりに歯並びが整いません。お口の状態によっては、マウスピースを装着するだけでは歯に密着せず、マウスピースが浮くことがあります。
その場合、アタッチメントをつければマウスピースが浮くことを防げます。効率的にインビザライン治療をすすめられることがメリットです。
歯を動かす力の強化
ガタガタした歯並びや抜歯が必要な症例の場合、マウスピースの装着だけでは歯を動かす力が不十分かもしれません。歯の表面にアタッチメントを取り付けることで、歯を動かす力が強化され計画通りに治療を進められるようになるでしょう。
特に、八重歯などの歯列から外れた歯がある場合や歯の重なりが大きい場合、マウスピースとアタッチメントを併用すると効果的です。
インビザラインのアタッチメントの種類
ここでは、インビザラインのアタッチメントの種類について解説します。
ルートコントロール用最適アタッチメント
ルートコントロール用最適アタッチメントとは、根元から歯を動かしたい時や歯の傾斜を改善する時に使用するアタッチメントのことです。歯を根元から動かすには強い力が必要なため、1本の歯に対して2つのアタッチメントを取りつけます。
前から2番目の歯や犬歯に装着することが多く、すきっ歯や歯の傾きを改善するのに効果的です。
回転用最適アタッチメント
回転用アタッチメントとは、捻じれた歯を矯正する際に使用するアタッチメントのことです。捻じれている方向とは逆向きに回転用最適アタッチメントを装着し、歯の捻じれを改善します。
八重歯やガタガタした歯並びの場合に、効果が期待できるでしょう。
オープンバイト用最適アタッチメント
オープンバイトとは、上下の歯を噛み合わせた時に前歯が噛み合わず、隙間が空く歯並びのことです。オープンバイト用最適アタッチメントは前歯に装着し、上下の前歯を歯茎の中から引っ張り出す挺出（ていしゅつ）という動きを促して歯並びや噛み合わせを整えます。
ディープバイト用最適アタッチメント
ディープバイトとは、上下の歯を噛み合わせた時に下の前歯が見えないほど深く噛み合う状態のことです。上下の小臼歯にディープバイト用最適アタッチメントを装着し、上の歯は歯茎方向に押し込み、下の歯は歯茎から引っ張り出すように働きかけます。
アンカレッジ用最適アタッチメント
アンカレッジ用最適アタッチメントとは、抜歯する症例に使用するアタッチメントのことです。抜歯が必要な症例は、出っ歯や叢生などの歯並びの乱れが重度な場合です。
犬歯や小臼歯にアンカレッジ用最適アタッチメントを装着することが多く、抜歯でできた隙間を埋めるように歯を動かします。
アタッチメントの付け方・外し方について
インビザラインのアタッチメントの付け方・外し方について解説します。
インビザラインのアタッチメントの付け方
アタッチメントの付け方は、以下のとおりです。
- 歯の表面を清掃する
- エッチング
- ボンディング
- アタッチメント用のマウスピースにレジンを注入
- マウスピースの装着し、光照射で固める
- 余分なレジンの除去・研磨
インビザラインのアタッチメントは、アタッチメント作成用のマウスピースにレジンを注入して光照射で固めて取り付けます。虫歯治療のように歯を削ることはないので、歯の健康を損なうことはありません。
インビザラインのアタッチメントの外し方
アタッチメントの外し方は、以下のとおりです。
- レジンリムーバーでレジン除去
- 表面に残った接着剤やレジンを除去・研磨
インビザラインのアタッチメントを外す際は、レジンリムーバーという専用の器具を使います。少しずつアタッチメントを削りますが、力をかけながら外すため違和感などが出るかもしれません。
しかし、痛みはないことが多いのでご安心ください。アタッチメントが外れたら、歯の表面に残った接着剤やレジンを除去し、丁寧に研磨して終了です。
インビザラインのアタッチメントについてのよくある疑問
ここでは、インビザラインのアタッチメントについて疑問に1つずつお答えします。
アタッチメントは目立つ？
アタッチメントの形や大きさは種類によって異なるものの、歯の色に似た樹脂素材のため目立つことはありません。マウスピースもアタッチメントも目立ちにくいことが、インビザラインが人気の理由といえるでしょう。
アタッチメントをつけると痛い？
アタッチメントを装着しても、強い痛みが出ることは少ないです。
しかし、アタッチメントによってマウスピースの矯正力が強まるため、新しいマウスピースを装着した際や歯が移動する際には痛みが出ることがあります。歯が順調に移動すれば痛みはなくなるでしょう。
また、マウスピースを取り外す際に、アタッチメントにマウスピースが引っ掛かると痛みが出ることがあります。両手でマウスピースを持ち、奥歯からやさしくマウスピースを外すようにしましょう。
アタッチメントはいつまで必要？
インビザラインのアタッチメントは、歯を効率的に動かすための補助用具です。基本的には矯正期間中は付け続ける必要があります。
お口の状態によって異なりますが、アタッチメントが必要な期間は1～2年が一般的です。保定期間に入るまではアタッチメントは付けたままですが、症例によっては途中で外すこともあります。保定期間中は歯を動かさないので、どのような症例でもアタッチメントは不要です。
アタッチメントなしでも治療できる？
お口の状態によって異なりますが、アタッチメントなしでもインビザライン治療は可能です。
しかし、アタッチメントはインビザライン治療を効率的にすすめるために装着します。アタッチメントが必要と判断されたのに付けずに治療をすすめた場合、治療期間が長引く可能性があるでしょう。
また、歯並びの乱れが重度な場合などは、アタッチメントなしでは細かな歯の位置調整が難しい場合もあります。治療期間を短縮したり、仕上がりがより美しくなったりする効果が期待できますので、必要な場合はアタッチメントを付けたほうがよいでしょう。
インビザラインのアタッチメントをつけた場合の注意点
インビザラインのアタッチメントにはさまざまなメリットがあるものの、付けている間は以下の3つの点に注意してください。
アタッチメント周囲を丁寧に磨く
アタッチメントは歯の表面に取り付けるため、汚れが溜まりやすくなります。アタッチメントの周囲や歯との境目は、丁寧に磨きましょう。
特に、アタッチメントと歯の境目には普通の歯ブラシの毛先は届きにくいです。毛束が1本のタフトブラシを使用するとよいでしょう。
飲食物の色素で着色することがある
アタッチメントで使用するコンポジットレジンは、飲食物の色素によって着色しやすい素材といえます。コーヒーや緑茶、紅茶、ワイン、カレー、ケチャップなど、色の濃い飲食物を摂ると、アタッチメントが黄ばむことがあるため注意が必要です。
色の濃い飲食物を摂取した後は、すぐに歯磨きすると着色を防げます。出先などで歯磨きが難しい場合は、うがいしたり食後に水分を摂ったりしましょう。
アタッチメントが外れることがある
インビザラインのアタッチメントは歯の表面に接着剤で固定していますが、マウスピースの着脱方法によってはアタッチメントが外れることがあります。片手でマウスピースを引っ張ったり無理な力をかけたりせず、正しい手順でマウスピースを外してください。
また、アタッチメントが原因でマウスピースの着脱が難しい場合は、一度歯科医師に相談するのとよいでしょう。
アタッチメントが外れた場合は、なるべく早く歯科医院を受診してください。アタッチメントが取れたまま放置していると、マウスピースの矯正力が弱まり治療期間が延びる可能性があります。
アタッチメントが取れても、すぐに大きな問題につながることはないかもしれません。
ただし、インビザライン治療に必要なものですので、なるべく早くアタッチメントを再装着することが大切です。
まとめ
インビザラインのアタッチメントの役割は、マウスピースを歯の密着度を高めること、矯正力を強めることです。アタッチメントなしでもインビザライン治療はできますが、アタッチメントを併用することで治療期間が短縮できたり、より美しい口元に近づけたりします。
インビザライン治療やアタッチメントについて詳しく知りたい方は、当院までお気軽にご相談ください。